自己破産

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自己破産とは

  • 裁判所の免責許可で借金をゼロにできる
  • 99万円までの財産は残すことができる
  • 自己破産とは、借金(債務)の返済が不可能な方について、破産管財人が一定額以上の財産を処分・換価して、それを各債権者に平等に分配するとともに、裁判所が返済できなかった債務の支払義務を免除する(免責手続)制度です。簡単に言うと、一定額以上の財産をすべて処分した上で、残りの借金を免除してもらう手続です。
  • 債務の支払義務を免除されること、このことを免責といいます。免責は、浪費・ギャンブル等、法律の定める免責不許可事由がない限り、認められます。また、免責不許可事由があっても、裁判所が裁量で免責することもあります。なお、借入原因や借金の使途の一部に浪費やギャンブル等であっても、ほとんどのケース(9割5分以上の確率)で、免責が認められています。
  • 自己破産をすると全ての財産を失うことになると誤解されがちですが、自己破産は、破産者の生活を再建するための手続きです。生活を再建するために必要な財産として、99万円までの財産は、手元に残すことができます。

自己破産のメリット・デメリット

自己破産をすることによって、一般的には次のようなメリット、デメリットがあります。
メリット
  • 税金等を除いた借金の全てについて、支払い義務が免除される
  • 現金99万円までは自由財産として手元に残せる
  • 自動車や保険等の財産が残せる場合がある
デメリット
  • 官報に掲載される
  • 信用情報機関に事故登録(いわゆるブラックリスト)される
  • 不動産や価値の高い自動車を所有している場合、手放すことになる
  • 資格制限がある
  • ギャンブルや浪費等の免責不許可事由がある場合、免責が認められない可能性がある

補足説明

自己破産しても、戸籍や住民票には記載されません。選挙権もなくなりません。
資格制限を受ける職業として、保険募集員、警備員、証券会社外務員、宅地建物取引主任者などがあります。
資格制限の期間は、破産手続開始決定から免責許可決定が確定するまでです。
会社の取締役・監査役の方は、破産手続開始決定により、一旦会社との委任契約が終了となり退任しますが、破産者は取締役・監査役の欠格事由ではないため、同じ方を再度取締役・監査役に選任することは可能です。

自己破産の手続き・流れ

自己破産の手続き

自己破産には、同時廃止事件(同時廃止手続き)と管財事件(管財手続き)の2種類があります。
どちらの手続きをとるかによって、破産手続き申立及び開始決定後の、自己破産の流れが異なります。
どちらの手続きをとるかは、借金の借入原因(免責不許可事由の有無)や、破産手続きによって処分すべき財産があるか等によって、決まります。
管財事件の方が、裁判所に支払う予納金が高額になります。

同時廃止事件

【破産管財人の調査:無し】

同時廃止事件とは、破産手続開始の決定と同時に、破産手続廃止の決定をする事件をいいます。これは、債務者の財産が一定基準未満の場合で、破産管財人による調査の必要がない場合に、破産管財人による換価手続や配当手続を省略するものです。
破産手続終了(廃止)後、裁判所から免責許可決定を受けることにより、借金(債務)の支払義務が免除されます。

管財事件

【破産管財人の調査:有り】

管財事件とは、裁判所が破産手続開始の決定と同時に、破産管財人を選任する事件をいいます。選任された破産管財人は、破産債権を調査し、財産を換価し、債権者に配当します。
管財事件になるケースとしては、借金の支払い義務を免除することついて調査が必要な場合や、処分可能な財産がある場合等があります。

自己破産・同時廃止事件の流れ

0日目
弁護士に自己破産を相談・依頼する
返済ストップ
即日~2日後
各債権者に受任通知
取立ストップ
ご依頼から3ヶ月~
自己破産の申立て
申立から1週間から1ヶ月
自己破産の開始決定と同時に廃止(終了)
開始決定から2ヶ月
免責審尋期日に出頭
審尋問期日から10日後
免責許可決定
免責許可から2週間
解決・終了免責確定

名古屋地方裁判所における同時廃止事件のスケジュールの目安です。

自己破産・管財事件の流れ

0日目
弁護士に自己破産を相談・依頼する
返済ストップ
即日~2日後
各債権者に受任通知
取立ストップ
ご依頼から3ヶ月~
自己破産の申立て
申立から1週間から1ヶ月
破産管財人の選任
自己破産の開始決定
開始決定から10日後
破産管財人と面談
開始決定から3ヶ月
債権者集会に出頭
債権者集会終了から10日後
免責許可決定
免責許可から2週間
解決・終了免責確定

名古屋地方裁判所における管財事件(異時廃止)のスケジュールの目安です。

自己破産の弁護士費用

弁護士費用
200,000円(税込220,000円)~御見積
  • 免責許可の成功報酬金は不要です。
  • 弁護士費用は毎月の分割払いでお支払いいただけます。
  • 別途、実費(目安金額:2万円)がかかります。
  • 名古屋地方裁判所における少額管財事件では、裁判所予納金として20万円が必要です。
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ご依頼者様の声

弁護士の尾中様には大変お世話になりました。質問に対するレスポンスも早く、自身が招いた浪費でしたが、アドバイスもあり同時廃止で終えることが出来ました。
初めての自己破産でしたが、終始不安なく終える事が出来ました。これも、弁護士さんと事務員さんの連携がしっかりとれていたからだと思います。
いつも分かりやすい説明をていねいにして下さり、心細く不安に感じていた思いがなくなりました。打ち合わせの回数が少なかったので、負担がありませんでしたし、LINEでのやりとりもとても助かりました。
解決するまでの間色々とあり大変でしたが、事務所の方々が満足のいく結果になるよう動いてくださり大変満足です。
今回の結果に大変感謝しております。また今後他の事で何かあった時はまたよろしくお願い致します。ありがとうございました。

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自己破産の解決実績

ご依頼前 : 4社合計約200万円
ご依頼後 : 免責により借金0円

愛知県春日井市 女性 40代

債務整理前 : 消費者金融、クレジットカード会社等債権者4名、債務総額約200万円

債務整理後 : 免責決定により借金0円

ご依頼前 : 20社合計約2000万円
ご依頼後 : 会社は破産して清算,代表取締役も自己破産して借金はゼロに

愛知県名古屋市 会社・法人 建築現場への人材派遣業

債務整理前 : 金融機関からの借り入れ,取引先への支払など20社合計約2000万円

債務整理後 : 法人破産で会社は清算。代表取締役社長も自己破産して債務はなくなりました

ご依頼前 : 6社合計約550万円
ご依頼後 : 免責により借金0円

愛知県清須市 男性 30代 会社員

債務整理前 : クレジットカード会社、自動車ローン、消費者金融等債権者6社、債務総額約550万円

債務整理後 : 免責決定により借金0円

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自己破産のよくある質問
自己破産した場合、給料の差し押さえはどうなりますか

回答

自己破産をした場合、既になされた給料の差し押さえは、裁判所の自己破産開始決定により、中止(同時廃止事件)又は失効(管財事件)となります。

 

同時廃止事件の場合は、免責決定の確定により、給料の差し押さえは効力を失い、給料の全額を受領することができるようになります。

 

管財事件の場合は、裁判所の開始決定が出た時点で、既になされている給料の差し押さえは効力を失うため、その後の給料は全額受領することができるようになります。

 

もっとも、いずれの手続であっても、多くの債権者は、破産申立て又は破産開始決定後に、差押えを取り下げますので、その後の給料を全額受領することができるようになります。

 

解説

1.自己破産と差し押さえ手続

自己破産は、破産者が有する一定額以上の財産を処分・換価して、それを各債権者に平等に分配するとともに、裁判所が返済できなかった債務の支払義務を免除する(免責手続)制度です。

 

自己破産手続においては、上記のとおり債権者は平等に扱われるのが原則であるため、破産債権については、自己破産の開始により、個別に強制執行(差し押さえ等)を行うことができなくなります(破産法100条)。

 

既になされている給料の差し押さえの効力については、同時廃止事件と管財事件によって取り扱いが異なります。

 

2.同時廃止事件の場合

同時廃止事件の場合、自己破産の申立てを行い、裁判所の開始及び廃止決定が出た時点で、既になされている給料の差し押さえは中止することになります(破産法249条1項)。その後、免責決定が確定すると、差し押さえは効力を失い(破産法249条2項)、給料の全額を受け取ることができるようになります。

 

開始及び廃止決定がでた時点から免責決定の確定までの間に差し押さえられていた給料は、免責決定の確定により、破産者が受け取ることができるようになります。

 

3.管財事件の場合

管財事件の場合は、自己破産の申立てを行い、裁判所の開始決定が出た時点で、既になされている給料の差し押さえは効力を失うことになります(破産法42条)。

 

その結果、自己破産開始決定後の給料は、全額破産者が受け取ることができます。自己破産の開始決定が出た時点で差し押さえが失効することから、同時廃止事件と比べて、給料を全額受け取ることができる時期が早いことになります。

 

4.差押えの取下げ

多くの債権者は、破産申立て又は破産開始決定後に、給料の差押えを取り下げます。そのため、通常は、その後の給料を全額受領することができるようになります。

 

参考条文

破産法

(他の手続の失効等)

第四十二条 破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行、企業担保権の実行又は外国租税滞納処分で、破産債権若しくは財団債権に基づくもの又は破産債権若しくは財団債権を被担保債権とするものは、することができない。

2 前項に規定する場合には、同項に規定する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行及び企業担保権の実行の手続並びに外国租税滞納処分で、破産財団に属する財産に対して既にされているものは、破産財団に対してはその効力を失う。ただし、同項に規定する強制執行又は一般の先取特権の実行(以下この条において「強制執行又は先取特権の実行」という。)の手続については、破産管財人において破産財団のためにその手続を続行することを妨げない。

(以下省略)

 

(破産債権の行使)

第百条 破産債権は、この法律に特別の定めがある場合を除き、破産手続によらなければ、行使することができない。

2 前項の規定は、次に掲げる行為によって破産債権である租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)を行使する場合については、適用しない。

一 破産手続開始の時に破産財団に属する財産に対して既にされている国税滞納処分

二 徴収の権限を有する者による還付金又は過誤納金の充当

 

(強制執行の禁止等)

第二百四十九条 免責許可の申立てがあり、かつ、第二百十六条第一項の規定による破産手続廃止の決定、第二百十七条第一項の規定による破産手続廃止の決定の確定又は第二百二十条第一項の規定による破産手続終結の決定があったときは、当該申立てについての裁判が確定するまでの間は、破産者の財産に対する破産債権に基づく強制執行、仮差押え、仮処分若しくは外国租税滞納処分若しくは破産債権を被担保債権とする一般の先取特権の実行若しくは留置権(商法又は会社法の規定によるものを除く。)による競売(以下この条において「破産債権に基づく強制執行等」という。)、破産債権に基づく財産開示手続の申立て又は破産者の財産に対する破産債権に基づく国税滞納処分(外国租税滞納処分を除く。)はすることができず、破産債権に基づく強制執行等の手続又は処分で破産者の財産に対して既にされているもの及び破産者について既にされている破産債権に基づく財産開示手続は中止する。

2 免責許可の決定が確定したときは、前項の規定により中止した破産債権に基づく強制執行等の手続又は処分及び破産債権に基づく財産開示手続は、その効力を失う。

3 第一項の場合において、次の各号に掲げる破産債権については、それぞれ当該各号に定める決定が確定した日の翌日から二月を経過する日までの間は、時効は、完成しない。

一 第二百五十三条第一項各号に掲げる請求権 免責許可の申立てについての決定

二 前号に掲げる請求権以外の破産債権 免責許可の申立てを却下した決定又は免責不許可の決定

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自己破産した場合、保証人に迷惑がかかりますか

回答

通常は迷惑がかかります。

 

自己破産した場合、債権者から、保証人に対して、借金した本人に代わって返済するよう一括請求がなされます。仮に保証人が払えない場合、保証人自身も債務整理を検討する必要があります。

 

解説

保証人とは、債権者と保証人の間の契約により、借金など債務を負っている人(主たる債務者といいます)が債務を返済できなくなった場合に、主たる債務者に代わって返済する義務を負う人のことをいいます。

 

主たる債務者が自己破産し、その債務を免責されたとしても、保証人の支払い義務はなくなりません。そのため、通常、債権者から保証人に対し、残っている債務の請求がされることになります。また、この請求は通常一括請求となるため、保証人が分割払いを希望する場合、改めて債権者と交渉する必要があります。

 

仮に、保証人が主債務者に代わって支払うことが難しい場合は、保証人も、債務整理を検討する必要があります。

 

参考条文

民法

(保証人の責任等)

第四百四十六条 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。

2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。

3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。

(保証債務の範囲)

第四百四十七条 保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。

2 保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる。

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自己破産手続き中は、どのような制限を受けますか

回答

自己破産手続き中、管財事件の場合は居住制限通信の秘密の制限資格制限を受けることになります。一方、同時廃止事件の場合は、上記のうち、資格制限のみを受けます。

 

解説

1.自己破産で受ける制限

自己破産をすると、一定の制限を受けることになります。制限の内容は、管財事件と同時廃止事件で異なります。

 

2.管財事件の場合

自己破産で、管財事件になると、破産手続き中、以下の制限を受けることになります。

 

2-1.居住制限

居住制限とは、居住地を離れる(引越しや長期の旅行など)場合に裁判所の許可がいる、という制限です。

 

2-2.通信の秘密の制限

管財事件では、破産管財人には、破産者の財産等を調査する権限が与えられています。破産手続き中は、それらの調査のため、破産者宛ての郵便物は、破産管財人に転送され、破産管財人が開封して閲覧することになります。

 

2-3.資格制限

破産による資格制限は、破産法には規定がなく、それぞれの資格を定めている法律によって制限されています。例えば、弁護士となる資格は、弁護士法7条5号によって、「破産者であって復権を得ない者」は弁護士となる資格を有しないと規定されています。

 

制限を受ける資格は、弁護士、税理士、司法書士、行政書士など士業のほか、警備員や後見人、宅地建物取扱主任者、生命保険の募集人、旅行業務取扱主任者など多種多様です。このような資格・職業制限の期間は、破産手続きの開始から、「復権」されるまで続くことになります。復権とは、権利が復活・回復することです。

 

復権については破産法に各定め(同法255条、256条参照)がありますが、多くの破産事件では、借金などの債務を免責する許可決定が確定したときに、復権することになります。

 

3.同時廃止事件の場合

同時廃止事件では、上記の制限の内、管財事件と異なり、資格制限のみ受けることになります。

 

居住制限は、破産手続きの開始の効果として規定されていますが(破産法37条)、同時廃止事件では、破産手続きの開始と同時に破産手続きが廃止(終了)されるため、結局、このような制限はないことになります(ただし、住所の変更等は裁判所に報告する必要があります)。

 

また、通信の秘密の制限は、破産管財人の権限として認められており(同法81条、82条)、同時廃止事件では、破産管財人が選任されないため、この権限が行使されることもありません。

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自己破産の基礎知識

はじめに

借金をして返済ができなくなってしまったとき、最終手段として使える方法が「自己破産」です。
自己破産をすると、どれだけ多額の借金であってもすべて免除してもらうことができますし、無職無収入の方や生活保護の方などであっても借金問題を解決することが可能です。
ただ、自己破産にはデメリットや注意点もあり、他の債務整理方法と比較検討すべきケースもあります。
以下では、自己破産手続きについて、弁護士が詳しく解説いたします。

1.自己破産とは

自己破産とは、裁判所に申立をして「免責」を受けることにより、債務の支払い義務をなくしてもらう手続きです。
破産法という法律にもとづく制度であり、破産をするときには法律の規定に従って進行させる必要があります。
破産は、債務者自身が申し立てるケースと債権者が申し立てるケースがあり、債務者が自分で申し立てる破産のことを「自己破産」と言います。債権者が破産を申し立てる手続きは「債権者破産」です。
実際の件数としては、特に個人が破産する場合、ほとんどのケースで自己破産が行われています。
自己破産をすると、借金だけではなくすべての負債がなくなります。たとえば、未払の家賃や買掛金などの負債も免責の対象となります。
ただし、破産者の財産のうち、生活に最低限必要なものを超える部分は債権者に配当されるので、失われることとなります。

2.自己破産のメリットとデメリット

次に、自己破産のメリットとデメリット、さらには弁護士に依頼するメリットを確認していきましょう。

2-1.自己破産のメリット

まずは、自己破産のメリットからご紹介します。

メリット①(税金等を除く負債がゼロになる)

1つ目のメリットは、税金等をのぞくほとんどすべての負債が無くなることです。
自己破産には限度額がないので、どれだけ多額の借入があっても全額なくしてもらうことができます。
また、借金に限らず、家賃や滞納している光熱費、電話代、未払の買掛金、損害賠償債務などもすべてなくなります。
他人の保証人になっている場合には、保証債務も無くしてもらうことができるので、将来主債務者が支払いをしなくなったときにも責任が及びません。

メリット②(一定の財産は手元に残せる)

自己破産をすると、基本的にすべての財産がなくなります。ただし、生活に最低限必要な財産は、手元に残すことができます。
現金であれば99万円まで持ったまま破産できますし、預貯金や生命保険、車などの場合には20万円程度までの価値のものは持ったまま破産できるとする裁判所が多いです。
自己破産をしても、実際には結構たくさんの財産を持ち続けることができるのです。
車や生命保険を残して破産している方もたくさんおられます。

メリット③(無職無収入でも手続きできる)

債務整理の中で、借金が完全に0になる手続きは自己破産のみです。このように、支払いが残らないので、手続き後の返済のことを考える必要がありません。
任意整理や個人再生をしようとすると、最低限の収入が必要となりますが、自己破産の場合には一切の支払い能力が不要です。
無職無収入の方や失業中の方、障害があって働けない方、生活保護の方でも自己破産によって借金問題を解決することができます。

メリット④差押えを停止できる

自己破産を検討する方は、すでに借金返済を滞納しており、債権者から給料などの差押えを受けていることがあります。
そのような場合、自己破産を申し立てて破産手続き開始決定を受けると、差押えが停止されたり失効したりします。
同時廃止の場合には差押えが停止し、管財事件の場合には失効することになっています。
停止された場合には、後に免責決定を受けたときにまとめて給料の支払いを受けることができますし、失効した場合には、そのときから給料を全額受け取れるようになります。

メリット⑤差押えができなくなる

自己破産をする方は、借金を滞納して裁判を起こされ、債権者から「差押えをします」と予告されているケースがあります。 自己破産をして破産手続き開始決定があると、その後は新たに差押えをすることができなくなります。そこで、債権者から裁判をされて給与差し押さえをされそうな場合には、早めに自己破産を申し立てることによって差押えを回避することができます。

自己破産は、強制執行対策として非常に有効な手段と言えます。

2-2.自己破産を弁護士に依頼するメリット(手続面)

自己破産をするときには、弁護士に依頼すると以下のようなさまざまなメリットを得られます。

メリット①スムーズに手続を進められる

1つは、自己破産の手続きをスムーズに進められることです。
自己破産をするときには、非常にたくさんの書類が必要となりますし、申立後も裁判所や管財人の指示に従って適切に手続を進めていかねばなりません。
債務者が自分一人で取り組もうとすると、申立ての段階でつまずいてしまうことが多いです。
弁護士に手続を依頼すると、弁護士の指示に従って比較的楽に必要書類を集めることができますし、申立後も弁護士が段取りよく手続きを進めるので、スムーズに免責まで進めることができます。
実際に、自己破産をするときには、ほとんどの人が弁護士などの専門家に任せています。

メリット②手間がかからない

自己破産をするときには、大変な手間がかかります。
申立の歳の必要書類も非常にたくさんありますし、債権者に対する債権調査や申立の手続き、費用の予納や管財人との面談、裁判所における審尋や債権者集会などの手続きもあります。
自分で手続きをしようとすると、こうした書類集めやさまざまな作業をすべて自分一人で完結しないといけないので、大変な手間となります。
弁護士に自己破産を依頼すると、弁護士が必要書類を指示するので比較的楽に集めることができますし、申立書類等は弁護士が作成します。
申立の手続きや裁判所・管財人とのやり取りなどもすべて弁護士が対応するので、債務者が自分でしなければならないことは、ほとんどありません。
このように、手間がかからなくなることも、自己破産を弁護士に依頼するメリットと言えます。

メリット③支払いや督促が止まる

自己破産を検討される方は、すでに返済を滞納しており、債権者からたびたび督促を受けていることがよくあります。
そのようなとき、弁護士に自己破産を依頼すると、債権者からの督促が即時に停止します。
貸金業法において、弁護士が債務整理に介入した場合、貸金業者は債務者に直接督促してはならないと定められているからです。銀行などの金融機関も弁護士が自己破産手続きを開始すると、連絡はしてきません。
また、自己破産を弁護士に依頼すると、そのときから債権者に対する支払いも停止します。
このようなことから、弁護士に自己破産を依頼すると、借金支払いも督促もなくなって、借金がないのと同じ状態になるのです。そのまま無事に免責を受けられたら、一切の借金を支払う必要がなくなります。

メリット④家族に知られずに手続きできる

自己破産をするときには、なるべくなら家族にも知られたくない、という方が多いですが、弁護士に自己破産を依頼すると、同居の家族にも知られずに免責決定まで受けることが可能です。
弁護士が代理人になる場合、債権者や裁判所などからの連絡はすべて弁護士のところに来ますし、やり取りはすべて弁護士を通じて行われることになるからです。
また、書類集めや作成も弁護士が行うので、自宅で作業しているところを家族に見られてバレることもありません。
家族に知られずに自己破産したい場合には、必ず弁護士に依頼することをお勧めします。

メリット⑤裁判所で手続きが行われる際にも安心

自己破産では、裁判所において手続きが行われることがあります。
たとえば、申立後の破産審尋、免責決定前の免責審尋、債権者集会などです。こうした機会には、債務者本人も裁判所に出頭しなければなりません。
弁護士が代理人になっていたら、弁護士が一緒に手続きに参加して債務者の代わりに発言することなどもできるので、債務者は安心できます。
これに対し、弁護士に依頼せずに1人で申立をする場合や司法書士に依頼する場合には、こうした裁判所での手続きには債務者が1人で出頭しなければならないので、不安です(司法書士には書類作成の代理権のみが認められ、手続きそのものの代理権がないため、裁判所での手続きに代理で参加することができないためです)。

2-3.自己破産のデメリット

次に、自己破産のデメリットを見てみましょう。

デメリット①(いわゆるブラックリストに登録される)

自己破産には限りませんが、債務整理をすると、いわゆる「ブラックリスト」状態となります。
ブラックリスト状態とは、個人信用情報に事故情報が登録されている状態です。
個人信用情報とは、個人のローンやクレジットカードの利用履歴のことです。これまでにどのようなローンを借りたのかや、返済状況等が記載されており、その内容を見るとその人を信用できるかどうか、判断できます。
自己破産をすると、個人信用情報に事故情報が登録されるので、ローンやクレジットカード審査に通らなくなってしまいます。
ブラックリスト期間は自己破産後5年~10年程度であり、銀行ローンを利用できない期間が特に長くなりやすいです。

デメリット②(不動産などの資産がなくなる)

自己破産をすると、不動産や自動車などの財産がなくなります。
住宅ローンがついていてもいなくても、不動産は確実になくなりますし、一定以上の価値のある車や所有権留保がついている車もなくなります。
また、一定以上の金額の預貯金や生命保険、貴金属や絵画などの動産、投資信託や株式などの財産も、すべて失われることになります。

デメリット③(一定の職業に就いている場合の資格制限)

自己破産をするとき、一部の職業について制限を受ける可能性があります。
たとえば、警備員や生命保険外交員、弁護士や司法書士、税理士などの士業、宅建業者、旅行業者、貸金業者などの資格を制限されます。
資格制限は免責決定を受ければ解除されますが、それまでの数ヶ月間は仕事ができなくなったり職に就くことができなくなったりするので、不利益が及びます。

デメリット④(免責不許可事由)

自己破産には「免責不許可事由」の問題があります。
免責不許可事由とは、該当する事情があると、免責を受けられなくなってしまうことです。
免責とは、債務を0にしてもらえる決定のことですから、免責を受けられないと、債務がそのまま残ってしまうのです。
たとえば、浪費やギャンブルが原因で借金をすると免責不許可事由に該当するので、自己破産をしても負債が無くならない可能性が出てきます。

ただし、実際には「裁量免責」という方法によって、免責不許可事由があってもほとんどのケースで免責を受けられます。浪費やギャンブルがあると免責を受けられないという意味ではないので、心配な場合には、弁護士までご相談下さい。

3.自己破産の影響、知っておくべきこと

自己破産をすると、その後の生活にどのような影響が及ぶのか、心配になる方が多いでしょう。以下では、自己破産による影響や、自己破産するに際して知っておくべきことをご紹介します。

3-1.一定の財産は残すことができる

自己破産をすると「財産がなくなる」ことが知られています。
しかし、実際には自己破産をしても、すべての財産がなくなるわけではありません。破産者には「自由財産」が認められるためです。
たとえば現金であれば99万円まで持ったまま破産することができますし、預貯金や生命保険、株式や車両などの個別の財産も、一定の価値のものまでであれば所持し続けることができます。
実際に破産する方は、財産があまりないので自由財産の範囲に収まり、財産を失うことのない「同時廃止」という手続きを採用されることが多いです。
また、財産がある場合でも、弁護士費用や破産の費用に充てることも可能であり、それによって同時廃止扱いにすることができるケースもあります。

3-2.自己破産と住宅・住宅ローン

住宅ローンを抱えている方や持ち家のある方が自己破産をすると、家は必ず失われます。
まず、破産者が不動産を所有し続けることは認められていないので、住宅ローンのついていない家があると、売却されて債権者に配当されます。
住宅ローンのついている家の場合には、自己破産をすると債権者が競売を申し立てるので、やはり家が失われます。

このように、自己破産によって家が失われた場合には、賃貸住宅を借りて引っ越しをする必要があります。自己破産をしても不動産の賃貸借契約は、基本的に自由にできますので、持ち家にお住まいの方は、破産に備えて準備しておくと良いでしょう。

3-3.自己破産と車

自己破産するときに車を所有している場合には、車がなくなるかどうか心配される方が多いですが、この場合、車のローンがついているかどうかが問題となります。
車のローンがあって、所有名義がローン会社になっている場合(所有権留保がついている場合)には、自己破産すると車が失われます。
一方、車のローンがない場合や所有権留保がついていない場合には、車の価値が問題となり、車の価値が一定以上であれば、車は売却されて債権者へ配当されます。
そこで、車の査定をとるときには、なるべく査定額が低い方が破産者にとって有利になります。
なお、破産をしても新たに車を購入することは可能ですが、ブラックリスト状態になるため、車のローンを組むことは難しくなります。

3-4.自己破産すると家族に迷惑をかけるか

自己破産をするとき、破産によって家族に迷惑をかけるのではないかと心配される方がおられます。
基本的には家族に迷惑がかかることはありません。
自己破産したからといって、債権者から家族に督促が来ることもありませんし、裁判所から通知が来たり、裁判所に行かなければならなくなったりすることもありません。
自己破産によってブラックリスト状態になるのも破産者本人だけであり、家族はローンやクレジットカードを利用することも可能です。
ただし、家族が借金の保証人になっているときに破産をすると、債権者は保証人である家族へと返済請求をします。 たとえば住宅ローンを組んでいて配偶者が連帯保証人になっているケースなどでは、自己破産するときに配偶者とよく相談する必要があるでしょう。

3-5.自己破産すると家族や会社にばれるか

借金をしている方は、周囲に秘密にしている方が多いので、自己破産をすると、家族に借金がバレてしまうのではないかと心配されることがあります。
結論として、家族や会社に知られずに自己破産すること自体は可能です。

ただ、そのためには自己破産を弁護士に依頼する必要があります。
自分で手続きをする場合、債権者から自宅にたくさんの書類が届きますし、しょっちゅう電話もかかってくるので、同居の家族に知られずに手続を進めることは困難です。
会社に対して「退職金証明書」などの書類を申請するときに、破産を知られる可能性もあります。
弁護士に自己破産を依頼すると、債権者や裁判所からのすべての連絡は弁護士に届くようになりますし、必要な書類の作成や申立などの手続きもすべて弁護士が行うので、家族が気づくきっかけがありません。会社に退職金証明書を申請する際にも弁護士が適切にアドバイスを行い、別の手段をとることなどにより、知られずに済ませることができます。

3-6.自己破産するとその後の日常生活に影響があるか

自己破産をした後、その後の生活にどういった影響が及ぶのか、心配される方も多いです。
自己破産後残る影響としては、ブラックリスト状態になることが大きいです。
自己破産をすると、その後5~10年程度、ローンやクレジットカードを一切利用できなくなるからです。その間、住宅ローンや車のローンなどを組もうとしても、利用できません。
ただ、それ以外には特段大きな影響はありません。免責さえ受けられれば、どのような職業に就くのも自由ですし、引っ越しや海外旅行も自由にできます。
戸籍謄本や住民票などに何らかに記載が行われることもありません。
自己破産後に入手した財産はすべて自分のものとすることができるので、貯蓄をしたり遺産相続をしたり、新たに事業を始めたりすることも可能です。

3-7.自己破産と奨学金

最近では、奨学金が返せないので自己破産を検討される方が増えていますが、奨学金も自己破産免責の対象になります。
自己破産には非免責債権がありますが、奨学金はその中に入っていないからです。
奨学金を返せない場合、最終的に自己破産をすれば返済義務が免除されて借金生活から解放されるので、覚えておくと良いでしょう。

3-8.自己破産と結婚

自己破産すると、結婚に対する影響が及ぶのではないかと心配される方も多いです。
基本的に、自己破産したことで結婚できなくなることはありません。
戸籍謄本や免許証、パスポートなどの公的書類にも何も記録されないので、言わなければ相手に自己破産したことを知られることもありません。何も言わずに結婚したからと言って、詐欺になったり離婚事由になったりすることも通常はありません。
ただ、過去に自己破産したことを告げると、相手が引いてしまったり、相手の親が反対したりする可能性は十分にあるでしょう。
また、自分が言わなくても、どこかから噂が回って相手に知られる可能性があるかもしれません。そういったことが心配なら、結婚前に過去の自己破産の事実を告げて、了解してもらった上で結婚するのも1つの方法です。

4.自己破産と個人再生、任意整理との違い

次に、自己破産と他の債務整理方法(個人再生、任意整理)との違いを確認しましょう。

4-1.個人再生との違い
借金が無くなるかどうか

個人再生と自己破産の大きな違いは、借金がなくなるかどうかということです。
自己破産の場合なら、借金をなくすことができますが、個人再生の場合、借金は減額されるだけでなくなることがありません。 そこで、自己破産であればまったくの無収入の方でも利用できますが、個人再生は、ある程度の収入がある方しか利用できません。

財産が無くなるかどうか

自己破産と個人再生のもう1つの大きな違いは、財産が無くなるかどうかということです。
自己破産をすると、生活に必要な最低限の資産以外は無くなってしまいますし、自宅(持ち家)を維持することも不可能です。 個人再生であれば、住宅ローンがついている家でも守ることができますし、その他の財産がなくなることはありません。
守りたい大切な財産があるならば、自己破産より個人再生を検討すべきですし、反対に、そういったものがなければ自己破産をしても支障は少ないです。

借金の限度額

自己破産と個人再生には「借金の限度額」の有無も違います。
個人再生の場合、借金が5000万円までのケースでしか利用できませんが、自己破産には限度額がありません。
そこで、5000万円を超える多額の借金があるなら、自己破産すべきと言えます。

借金の原因が問題になるか

自己破産には「免責不許可事由」があるため、一定の理由による借金(浪費やギャンブルなど)のケースでは、免責が認められない可能性があります。
他にも、前回免責を受けてから7年以内には自己破産できないなどの制限があります。
個人再生には基本的にそういった制限がないので、どのような理由で借金した場合でも借金を減額してもらうことができますし、前回の申立から期間を空ける必要もありません(給与所得者等再生の場合に一部例外があります)。

4-2.任意整理との違い

次に、任意整理との違いを見ていきましょう。

裁判所を介するかどうか

自己破産と任意整理の大きな違いは、裁判所を介するかどうかという点です。
自己破産の場合、裁判所への申立が必要ですし、その後も裁判所の関与の元に手続きが進んでいくので、手続き進行が硬直的です。必要書類も非常に多く、手間がかかりますし、債務者にかかる負担も重いです。
これに対し、任意整理であれば、債務者と債権者が自主的に話し合って解決するので、柔軟な解決が可能ですし、必要書類や決まりも少なく、楽に進めることができます。
たとえば、任意整理なら、一部の債権者を外して手続きすることもできますが、自己破産ではすべての債権者を対象にしなければならないなどの違いが出てきます。

借金がなくなるかどうか

自己破産の場合には借金が完全になくなりますが、任意整理の場合、借金はなくなりません。個人再生よりも減額率が小さく、一般的な任意整理では、将来の利息をカットしてもらえる程度です。そこで、あまり多額の借金がある場合や収入が少ないケースでは、任意整理をしても解決できません。
借金問題に困っている場合、最終的には自己破産をして解決する必要があります。

財産がなくなるかどうか

自己破産をすると、生活に必要な最低限の財産を超える分は失われてしまいますが、任意整理なら、一切財産がなくなることがありません。
個人再生の場合でも、車のローンがついていると車が失われることがありますが、任意整理なら、ローン付きの車であっても守ることが可能です。

保証人に迷惑がかかるか

保証人つきの借金がある場合に自己破産をすると、債権者は保証人に対して借金残金の一括請求をしてしまうので、大きな迷惑をかけることになります。
これに対し、任意整理であれば、保証人つきの借金を外して手続きすることができるので、保証人に迷惑をかけずに済みます。

債権者の同意が必要かどうか

任意整理をするときには、個々の債権者と合意をしなければならないので、個別の債権者による承諾が必要です。 これに対し、自己破産の場合には、免責不許可事由さえ無ければ当然に債務がなくなります。そこで、債務整理に反対している債権者がいる場合などには自己破産が有効な対処方法となります。

以上のように、自己破産、個人再生、任意整理にはそれぞれ特徴とメリットデメリットがあるので、債務整理をするときには、状況に応じた適切な方法を選択することが大切です。

5.自己破産の手続・方法と流れ

自己破産をするときの手続き、方法や流れは以下の通りです。

5-1.必要書類の準備

自己破産をするときには、まずは必要書類を集めなければなりません。
必要書類の内容はケースによっても異なりますが、以下のようなものです。

  • ● 住民票
  • ● 給与明細書
  • ● 源泉徴収票
  • ● 確定申告書
  • ● 市民税、県民税証明書
  • ● 預貯金通帳の写し、取引明細書
  • ● 生命保険証書、解約返戻金証明書
  • ● 車検証、見積書
  • ● 退職金証明書
  • ● 不動産の全部事項証明書、査定書、固定資産税評価証明書
  • ● 住宅ローン設定契約書、保障委託契約書、償還表

 
他にも、ケースによって個別に必要な書類があるので、弁護士に確認して集めていきましょう。

5-2.裁判所への申立

必要書類をすべて揃えたら、裁判所に対して自己破産と免責の申し立てをします。弁護士に依頼している場合には、申立手続や必要な費用の納付を弁護士が行うので、依頼者自身は何もする必要がありません。

5-3.破産手続開始決定

申立後、特に不備や不足がなかったら、裁判所で「破産手続き開始決定」が降ります。
このとき、官報公告が行われて、正式に破産手続きが始まります。

5-4.同時廃止と異時廃止

破産手続き開始決定後の手続きは、同時廃止になるか異時廃止(管財事件)になるかで異なります。
同時廃止とは、破産者に特に財産や問題が無いので、破産手続き開始決定と共に破産手続きが廃止される手続きです。
異時廃止は、破産者に一定以上の財産があり、財産の換価と配当が必要となったり重大な免責不許可事由があったりする場合に選択される手続きです。この場合、破産手続き開始時には廃止されず、後の別のタイミングで廃止されるので、異時廃止と言われます。異時廃止の事件では破産管財人が選任されるので「管財事件」とも呼ばれます。

以下で、それぞれのケースにおける破産手続き開始決定後の手続きの流れを見てみましょう。

同時廃止の場合の手続きの流れ

同時廃止の場合には、破産手続き開始決定があると、同時に手続きが廃止されて、後は免責の判断が行われます。
免責の際には、裁判所で「免責審尋」が行われます。
免責審尋とは、裁判官が債務者と面談をして、いろいろと質問をする手続きであり、日程が決まって債務者は裁判所に呼び出されます。当日は、裁判官から、借金をしたことについてどう考えているのか、これから借金しないためにどのようなことに注意するのか、債権者に対してどう思っているのかなど、いろいろと聞かれます。
免責審尋が終わると、速やかに免責の判断が行われます。免責決定が下りると、借金が正式になくなります。

破産管財事件の場合

破産管財事件の場合には、破産手続き開始決定と共に破産管財人が選任されます。破産管財人は、債務者の財産状況を調べて財産を換価して、債権者や関係者に報告をします。
そして、管財人が管財業務を進めている間、裁判所では定期的に「債権者集会」が開かれます。債権者集会には、破産者(債務者)本人も出席しなければなりません。弁護士が代理人になっている場合には、弁護士も一緒に債権者集会に出席をして、発言をすることができます。
財産の換価業務が終了すると、管財人は集まったお金を債権者に配当します。これにより、破産手続きが終了します。
破産手続きが終了すると、裁判官が免責の判断を行い、免責許可決定が出たらすべての債務が免除されます。

5-5.自己破産にかかる期間

自己破産手続きにかかる期間は、同時廃止になるか管財事件になるかで異なります。
同時廃止の場合には、申立後2~3ヶ月程度で免責の判断が行われることが多いです。
これに対し、管財事件の場合には、申立後半年以上かかることが一般的です。

6.自己破産と免責

自己破産をするときには免責を受けることが何より重要です。しかし、場合によっては免責を受けられないことがあるので、注意が必要です。
それは、免責不許可事由があるケースです。

6-1.免責不許可事由とは

免責不許可事由とは、該当すると、「免責」を受けられなくなる事情です。
免責不許可事由があって免責不許可になると、借金支払い義務は一切免除されません。すべての債務がそのまま残るので、自己破産した意味がなくなります。
免責不許可事由としては浪費やギャンブルが有名ですが、以下のようにいろいろなものがあります。

  • ● 財産の隠匿、損壊、不利益な処分
  • ● 財産の不当な減少行為
  • ● 著しく不利益な条件で債務を負担した
  • ● クレジットカードの現金化など、信用取引で商品を購入して、著しく不利益な条件で換金した
  • ● 偏頗弁済
  • ● 浪費
  • ● ギャンブル
  • ● 射幸行為
  • ● 支払い能力について虚偽を述べて借入
  • ● 虚偽の債権者一覧表を提出
  • ● 破産管財人の業務妨害
  • ● 前回の免責決定時から7年が経過していない
  • ● 前回の給与所得者等再生で再生計画を遂行した場合、認可決定時から7年が経過していない
  • ● 以前個人再生のハードシップ免責を受けた場合、もととなった再生計画認可決定から7年が経過していない
  • ● 債権者集会で必用な説明をしない、財産関係の書類を提出しない
  • ● 裁判所や管財人による調査に協力しない

 
以下では、代表的な免責不許可事由である「浪費」「ギャンブル」「2回目の破産」について、みていきましょう。

浪費

浪費は、収入に不相当な支出をすることです。たとえば高額な買い物をしたり高級な飲食店に行ったり旅行を繰り返したりして、そのために借金するようなケースです。
通信費用が高額になりすぎている場合や交際費がかさんでいる場合などにも「浪費」とみなされることがあります。

ギャンブル

ギャンブルの代表はパチンコ、パチスロ、競馬や競艇などのものですが、宝くじの購入や株式投資、FX投資、先物取引などで損失を出して借金した場合にも「射幸行為」として免責不許可事由となります。

2回目の破産

過去に自己破産をしている場合、再度の免責が制限される可能性があります。 前回の自己破産による免責決定から7年が経過していない場合、再度破産申立をしても免責不許可となってしまいます。
前回の免責決定から7年が経過していれば、2回目以降であっても免責を受けられます。

6-2.裁量免責について

以上のように、免責不許可事由があると、免責を受けられなくなる可能性がありますが、実際には「裁量免責」によって免責を受けられることが多いです。
裁量免責とは、免責不許可事由があっても裁判官の裁量によって免責を認める制度です。
浪費やギャンブル、株式投資の失敗やクレジットカードの現金化などをしていても、最終的には裁量免責によって免責を受けられることがほとんどなので、該当する事情があってもあきらめずに弁護士に相談をしましょう。

6-3.非免責債権とは

自己破産の免責制度に関しては、「非免責債権」についても押さえておく必要があります。
非免責債権とは、免責されない個別の債権のことです。つまり、裁判所が免責を許可したとしても、その債務だけは免責の対象とならず、そのまま残ってしまうということです。
非免責債権がある場合、自己破産をしても支払い義務が無くならないので、随時弁済していく必要があります。

非免責債権は、以下の7種類です。

  • ● 税金、保険料
  • ● 悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
  • ● 故意または重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
  • ● 扶養義務にもとづく請求権
  • ● 雇用関係にもとづく使用人の請求権
  • ● 知っているのにあえて債権者名簿に記載しなかった請求権
  • ● 罰金

 
以下では、代表的な非免責債権である税金・保険料と損害賠償請求権、婚姻費用・養育費について、個別にみていきましょう。

税金、保険料

自己破産をしても、税金や健康保険料は免責されません。そこで、自己破産後も税務署や市町村役場などから支払の督促が来ますし、支払わなければ滞納処分によって、差押えなどを受ける可能性もあります。
健康保険料や年金保険料、下水道料金も税金と同じ扱いとなるので、免責の対象になりません(上水道料金やその他の光熱費は免責の対象です)。

損害賠償請求権

損害賠償請求権も、一部は非免責債権となります。
非免責債権となるものは、以下の通りです。

● 悪意で加えた不法行為にもとづく損害賠償請求権
単に知っていたというだけにとどまらず、相手を積極的に傷つけてやろうという悪意までもって、不法行為をした場合の損害賠償請求権です。
たとえば、窃盗や詐欺などの犯罪行為を行って相手に損害を与えた場合などに発生した損害賠償請求権は、免責されない可能性が高くなります。

● 故意または重過失でくわえた生命または身体に対する不法行為にもとづく損害賠償請求権
悪意がなくても、故意または重過失によって相手の生命や身体に損害を与えた場合には、損害賠償請求権が非免責債権となります。
たとえば、危険運転致死傷罪が成立するような交通事故の損害賠償請求権は、自己破産をしても免責されない可能性が高くなります。
この規定によって非免責債権となるのは「生命・身体」に対する不法行為のケースだけなので、故意や重過失によって相手の「財産」や「名誉」などに損害を与えた場合には、免責されます。

婚姻費用、養育費

婚姻費用や養育費などの扶養にかかる債権も、非免責債権です。
そこで、自己破産前に養育費や婚姻費用を滞納していた場合、自己破産をしても免除してもらうことはできません。もちろん、自己破産中や破産後も、継続して定まった金額を支払う必要があります。
婚姻費用や養育費の支払いが苦しい場合には、自己破産ではなく「養育費調停」「婚姻費用分担調停」を利用して、家庭裁判所で解決しなければなりません。

7.自己破産の費用

自己破産をするときには、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?
この場合「実費」と「弁護士費用」が必要となるので、以下でそれぞれの相場をご紹介します。

7-1.費用の相場
実費

実費とは、裁判所に支払う印紙代や郵便切手など、実際に手続を進めるために必要な費用です。弁護士に依頼しなくても実費は必要です。
自己破産の実費は、以下の通りです。

申立印紙代

申立印紙代は1500円です。申立の際に、債務者が収入印紙を購入して破産申立書に貼り付けて提出します。

郵便切手

債権者への連絡用の郵便切手です。債権者退かずにもよりますが、だいたい数千円程度です。

官報公告予納金

官報公告予納金は、官報公告(官報に破産情報を掲載すること)のために必要となる費用です。金額的には1万円~14000円程度であり、申立時に現金によって裁判所に納めます。

管財予納金

管財予納金は、管財事件となって破産管財人がついたときに必要となる費用です。
金額は、裁判所の運用やケースによってもかなり異なりますが、弁護士がついていると安くなることが多いです。
弁護士が代理する場合で20万円~、本人が申し立てると50万円くらいかかることもあります。

弁護士費用

自己破産するときの弁護士費用は、着手金です。
着手金とは、弁護士に何らかの手続を依頼したとき、当初に発生する費用です。
自己破産の着手金の相場は、同時廃止になるか管財事件になるかで異なり、管財事件の方が高額になります。
同時廃止の場合には20万円~30万円程度、管財事件の場合には30万円~50万円程度が相場となるでしょう。

7-2.自己破産を弁護士に依頼するメリット

自己破産の手続きを弁護士に依頼すると、費用面でもメリットがあります。

メリット①管財予納金が安くなる

それは、管財予納金が安くなることです。
管財事件になった場合、弁護士がついていなかったら管財予納金は50万円程度になってしまうこともありますが、弁護士がついていると20万円程度になることが一般的です。
弁護士がついていると、必要な準備や作業を専門家である弁護士が行うので、管財人の手間が省けるからです。

メリット②弁護士費用を支払って同時廃止扱いにできる

財産がある方の場合、弁護士費用を支払うことによって同時廃止にできるケースもあります。
たとえば、50万円分の生命保険がある方の場合、そのまま自己破産をすると管財事件となり、費用も高額になりますし、手続きも面倒になって負担が重くなります。何度も裁判所に行かなければならず、期間も長くかかるでしょう。
これに対し、生命保険を解約して30万円を弁護士費用として支払い、残り20万円を現金として持っていたら、同時廃止で手続きを進めることができますし、管財費用も不要で手続きも楽になり、早く終わります。

このように、自己破産するとき、弁護士に依頼すると費用がかかって大変だというイメージがありますが、実際には依頼した方が費用的にもメリットを受けられるものです。
借金支払いが苦しいならば、躊躇せずに弁護士に自己破産の相談をしてみてください。

8.自己破産をする場合の注意点

自己破産をするときには、以下のようなことに注意しましょう。

8-1.自己破産と生活保護

1つは、生活保護との関係です。

「生活保護受給者でも自己破産できますか?」と聞かれることがよくあります。

これについては、問題なく可能です。むしろ、生活保護受給者が債務整理をするときには、自己破産以外の手段を使うことができません。
生活保護受給者は、生活保護費によって借金返済すべきではないと考えられているからです。こっそり借金返済していることが役所にバレると、厳重に注意されますし、状況が改善されない場合には、保護を停止されてしまう可能性もあります。

また、現在借金があるけれども支払いが苦しいので、将来生活保護を受けたいと考えている場合にも、必ず自己破産によって解決しなければなりません。借金返済している状態では、生活保護を受けることが難しくなるからです。

役所からは、任意整理や個人再生後の支払いであっても借金返済とみなされてしまいますから、生活が成り立っていないなら、早めに自己破産して生活保護の申請をすべきです。
状況が切羽詰まっていて、自己破産を進める時間的な余裕がないケースでは、先に役所に申請を出して、並行して自己破産を進めることも可能なので、お早めに弁護士までご相談ください。

8-2.新たな借入れの制限(ブラックリスト)

自己破産をすると、いわゆるブラックリスト状態となり、免責決定を受けても5~10年間は一切のローンやクレジットカードを利用できなくなります。
消費者金融やクレジットカードなどの信販会社の場合には、免責決定後5年程度が経過したらまた借りられるようになりますが、銀行等の金融機関の場合、免責決定後10年程度が経過しないと、再度の借入は難しくなります。
ただし、自己破産をしても家族の個人信用情報には影響がないので、家族に信用があれば、家族名義でローンやクレジットカードを利用することは可能です。

8-3.携帯電話への影響

自己破産をすると、携帯電話やスマホの購入の際にも問題になることがあります。
まず、自己破産前に携帯電話の料金を滞納すると、携帯電話の利用を止められますが、滞納している携帯料金も自己破産によって免責されます。そこで、免責決定後には、また契約して利用することは可能です。
ただし、自己破産後には、携帯電話の端末代の割賦弁済を利用できなくなります。これは、ブラックリスト状態による影響です。
そこで、自己破産後5年程度の間は、携帯電話の機種変更や新規契約の際に新しい機種を購入するとき、一括払いをしなければなりません。
それができなければ、古い端末を使い続けるか、家族がいる場合には家族名義で携帯電話の契約をすることなどが考えられます。家族がブラックリスト状態でなければ、家族は2年の分割払いを利用することができるからです。

8-4.職業の制限

自己破産をすると、一定の職に就くことが制限されます。
たとえば、弁護士や司法書士、税理士などの士業、不動産の宅建業の資格、旅行業者の資格、貸金業者の資格などが制限されますし、警備員や生命保険外交員などの仕事にも就けなくなります。
こうした資格制限が起こるのは、破産手続き開始決定後免責決定が下りるまでなので、同時廃止なら2~3ヶ月、管財事件なら6~8ヶ月程度です。
該当する職業に就いているケースやこれから就職しようと思っているケースでは、自己破産のタイミングにも注意が必要となります。

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